![]() |
![]() |
![]() |
||||||||
|
井出薫
政府は皇室典範改正を優先課題として成立を急いでいる。しかし、世論の動向を無視し皇室典範改正を急ぐ理由が理解できない。 現天皇はまだ66歳で健康状態も問題ない。少なくとも10年はその地位に相応しい仕事ができる。万一のときには、弟である秋篠宮親王がいる。そのご子息、悠仁親王もいる。慌てて改正する必要はない。将来、皇室を維持できるか不安だというのであれば女系天皇を認めれば不安は解消される。男系天皇は揺るがせにできない日本の伝統だと一部の保守派は主張するが、それは男尊女卑の時代の慣習に過ぎず、そのようなものを現代に持ち込むのは時代錯誤だ。 そもそも、現行の皇室は余りにも皇族の行動に対して制約が多く、人権の観点から問題がある。皇室典範の改正を急ぐならば、まずそちらの問題を先に解決する必要がある。被選挙権がないのは致し方ないが、選挙権は認めるべきと考える。皇族には住所を記載した戸籍がないというが、そのようなことは些末な問題であり解決策は幾らでもある。眞子さんと小室さんの結婚では、小室さんの母親のことを取り上げて散々ネットで眞子さんを誹謗中傷する者が多数存在したが、眞子さんはそれに対して「悲しい」という感想を述べることしかできず、ネットからの削除を求めたり名誉棄損の訴えをしたりすることすらできなかった。 生まれながらに税金で生活が保証されているから制約があって当然と言う者がいる。しかし本人の意向に関わりなく様々なイベントに参加し大勢の聴衆の前で挨拶することを要求され事実上拒否できないのだから、何もしないで税金で暮らしているわけではない。国民のために仕事をしてその対価が税金から支給されている。さらに一般国民も憲法25条で生活保障がなされており、日本国民全員が生まれながらに生活保障がなされていると言うこともできる。いざとなれば全員が生活保護を受けられるし、生活保護受給者も選挙権など人権のほとんどが認められている。そもそも税金で暮らしているか否かで権利の制約の正当性を議論するのは間違っている。そのような考えは生活保護受給者、障碍者、年金生活者などの差別に繋がる。 皇族の権利の問題を解決しない限り、旧宮家から男系男子を養子に迎えるなどと言っても応じる者がいるとは思えない。すでに民間人になっている者を強制的に皇族にすることなど明確な人権侵害になるからできるはずがない。また民間人と結婚しても女性皇族が皇室に残れるようにするというが、残りたいと思っている女性皇族がどれだけいるか疑問と言わなくてはならない。皇室を離脱すると生活保障はなくなるが、語学が堪能でコミュニケーション能力が高い女性皇族ならば自立しても幾らでも仕事はある。 皇族の人権を大幅に制約している現行の男系天皇制はどう取り繕ったところで維持不可能に思える。弥縫策をあれこれ考えるよりも、天皇制が将来に亘っても日本にとって不可欠なのかという根本問題から議論をするべきだ。もし不可欠だというのであれば、皇族により多くの権利を認め、男系に固執することを止める必要があると考える。 了
|