☆ 中道改革連合 ☆

井出薫

 立憲民主党と公明党が新党を作ることで合意した。両党の衆院議員は離党し新党から衆院選に立候補するという。しかし、新党の未来は決して明るくない。

 公明党の自公連立政権離脱から3カ月しか経っていない。両党とも党内で十分な議論が行われたとは思えない。両党の政策が近いのは事実としても具体的な政策のすり合わせはできていない。地方組織への十分な説明も行われていないだろう。両党の幹部が独断的に新党結成を決めたとしか思えない。

 公明党は党勢の衰退が止まらず、立憲民主党も支持が広がらず参院戦で敗北、来月実施される衆院選でも大幅な議席減が予想される。背に腹は代えられないで、慌てて新党を設立したと皮肉られても致し方あるまい。しかも新党設立で選挙での勝利の展望が開けるとは思えない。創価学会色の強い公明党に批判的な立憲民主党議員・支持者は少なくない。これまで選挙で争ってきた立憲民主党の議員を支持することに違和感を持つ公明党議員・支持者も多く存在するだろう。新党に加わらない立憲民主党の議員も出てくるに違いない。新党が改選前の議席数を大幅に下回り100議席を切る可能性もある。そうなれば、新党結成を決めた野田、斉藤両代表の責任問題に発展する。両氏が退陣すれば新党はすぐに崩壊する。いずれにしろ現時点では新党に多くを期待はできない。

 新党は中道勢力を広く結集することを目指すとしている。しかし国民民主党は新党への参加を拒否しており結集にはほど遠い。そもそも中道とは何を意味しているのだろうか。90年代初頭までは、社会主義・共産主義を目指す社会党と共産党の左派政党と、自由主義・資本主義を堅持し共産主義を激しく批判する自民党という右派政党が日本社会で大きな勢力を持ち覇を競っていた。左派政党が政権を握ることはなかったが、自民党とその支持者にとって左派政党は大きな脅威だった。そして、どちらの陣営にも属しない公明党と民社党が中道政党と呼ばれ、自由主義・資本主義を容認しつつもその欠点を改善するために社会主義的な政策を取り入れ、国際政治では共産主義国との関係改善を目指していた。しかし、今や社会党は実質的に消滅し共産党も党勢衰退に歯止めが掛からない。左派勢力の影響力が大きく後退した現在、中道を標榜することの意義は薄れている。中道=非自民・非共産という図式が意味をなしたのは自民党だけではなく共産党やマルクス主義色が濃かった社会党左派が強かった時代のことで、今は意味がない。本来、立憲民主党と公明党が目指すべきところは自民党タカ派に近い日本維新の会と参政党を除く、共産党やれいわ新選組を含めた非自民勢力の結集だろう。だが、そういう意図は全く感じられない。

 現時点では、中道改革連合が衆院選で勝利することは望めず、その先も支持を伸ばすことはできないと予想せざるをえない。


(2026/1/18記)


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