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井出薫
参政党が都議選で議席を獲得した。参院選でも議席数増を狙う。世論調査でも支持率を伸ばし、一部調査ではれいわや維新を上回っている。参院選でも伸びる可能性は高い。同党は排外主義的な傾向が強く欧州のメディアならば極右政党と呼ぶだろう。同党を極右・排外主義と決め付けるのは公平ではない。同党が主張する政策は多岐にわたりもっぱら外国人排斥を唱えている訳ではない。暴力的な行動はとっておらず、軍国主義を賛美している訳でもない。だが、同党の言説に欧米で広がる移民排斥の動きに近いものがあることは否定できない。明確な論拠を示さずに「外国人留学生が優遇されている」と主張したり、外国人の違法行為の取り締まり強化を訴えたりしている。しかし、これらの主張は感情的で合理的な根拠を欠く。参政党の躍進は保守層の自民離れに起因している面が強く、参政党躍進を以て日本で排外主義が広がっていると判断することはできない。しかし、自民、維新、国民民主などからも排外的な発言がしばしば聞こえてきており、今後、日本でも排外主義が広がることが懸念される。 国際化と少子化が進む中、各大学とも外国人留学生の受け入れ拡大に努めている。外国人留学生には勉強熱心で優秀な者も多く大学のレベル向上に貢献している。日本の大学を卒業し日本企業で活躍する外国人は多く日本企業の業績を支えている。筆者の現役時代も同僚に若い優秀な中国人スタッフがいた。日本人学生にとっても国際交流や海外の知識を得る機会が増え、語学のスキルを磨くこともできメリットが大きい。外国人による犯罪が報じられることが増えているが、犯罪全体に占める割合は小さく憂慮すべき段階ではない。 日本はバブル崩壊以来、中国、韓国、台湾などは言うまでもなく、欧米諸国と比べても経済成長において大きく遅れをとっている。名目GDPを見ると、日本は92年に500兆円を超えてから24年に600兆円を超えるまで32年を要している。32年で1.2倍になった勘定だ。だが米国では同じ期間にGDPが4.5倍弱に拡大し、欧州の経済大国も軒並み2.5倍以上になっている。先進国の中で日本の経済成長の低さは際立っている。その要因の一つが人口減少で、日本経済を再び活性化するには外国人の受け入れ拡大が欠かせない。少子化対策に多額の予算を付けても日本人だけで人口減少を止めることはできない。米国と欧州は大幅な移民受け入れで人口減少を防ぎ堅調な経済成長を実現している。欧米の反移民を主張する者たちは、移民拡大のメリットを忘れ、デメリットばかりに目を向け移民を排斥しようとしている。だが移民を悉く排斥すれば欧米諸国は社会経済活動に致命的な大打撃を蒙ることになる。町は汚れ、建設工事はいつまで経っても完了せず、宅配サービスも受けられなくなる。最後には反移民主義者すらも後悔することになる。 欧米諸国で移民政策を巡り国内対立が深まっているとの報道の影響もあり、日本では外国人受け入れに消極的な姿勢が続き、むしろ強まってすらいる。それが多分に参政党躍進に繋がっている。だが、外国人の受け入れ拡大は、それに伴う問題があるにしても、全体的には社会の活性化、経済成長などメリットが大きい。在日外国人の増加による文化の多様化は短期的には軋轢を生む恐れがあるが長期的には社会の発展と改善に貢献する。遺伝的多様性は種の進化を促し生態系を豊かにする。人間社会も多様性が健全な発展の原動力になる。逆に排外主義は日本を衰退させる。そのことを、参政党を支持する人たちも含めて皆よく考える必要がある。 了
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