☆ サプリの安全性 ☆

井出薫

 紅麹サプリで死者がでるという痛ましい事故があった。原因は調査中で判明していない。紅麹は広く使われており、それが原因とは思えないが再発防止のために徹底的な調査が求められている。

 サプリは医薬品と違い大規模な治験を実施し有効性と安全性を確認した上で販売されている訳ではない。また医薬品では副作用の国への報告義務があるがサプリにはない。

 サプリは自然由来で、菌を殺すなどの強い効果を持つものではなく不足している栄養素を補うことを目的としている。血圧を下げると謳われるサプリでも、普段の食生活では不足しがちな(血圧を下げる効果があるとされる)栄養素を凝縮した製品で、医薬品の降圧剤のように血管へのカルシウム流入を遮断し強制的に血圧を下げるものではない。それゆえ、医薬品ほどの即効性はない代わりに副作用も一般的には少ない。

 しかしながら、サプリと言えど副作用はある。さらに、そばアレルギー、卵アレルギーなど様々な食物アレルギーを持つ者がいるように、サプリでも体質が合わないと体調を崩すことがある。一方、有効性も医薬品のような大規模な治験で確認されているわけではなく、商品化され多数の者が摂取することで二次的に有効性が確立されている。つまり効果の高いものはよく売れ、低いものは淘汰され消えていく。結果的に消費者に受容された製品は効果があるということになる。ただし広く使われているが偽薬効果に過ぎないものも中にはあろう。

 普通の食品でも身体に害を及ぼすもの、体質に合わないものはある。だから、事故があったからと言って、サプリを過剰に危険視する必要はない。普段の食事でも、酒に限らず身体によくないと分かっているものを食べたり飲んだりしている。だが、サプリは健康増進を期待して摂取する。それで健康を害しては何にもならない。それゆえ、法を改正してサプリの副作用の報告と公表を義務付けることが強く求められる。またサプリでも副作用が起きうることを広く一般市民に周知する必要がある。


(2024/4/18記)


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