☆ 基本が大事 ☆


 フェンスを改造して、選手と観客が試合後握手できるようにしたり、ブログでコミュニケーションしたりと、古田監督兼選手の改革が功を奏して、低迷を極めていたヤクルトの人気は漸く上向きつつある。その一方で、巨人戦の視聴率が5%まで落ち込み、巨人戦の放映権収入が来年以降見込めなくなるのは必至で、巨人戦の放映権を当てにしてきたセリーグ各チームは大変な打撃を受けることになる。ここは、プロ野球の発展のためにも、選手や監督・コーチは、グラウンドで成果を残せば、それでよいという時代ではないことを自覚して、古田(並びに新庄)を見習い、積極的に改革に取り組んでもらいたい。

 とは言え、古田改革はよいのだが、今年のヤクルトの試合内容はお粗末の一言だ。攻守にわたりチームの要である宮本が故障、リリーフエースの石井(弘)と先発の柱と期待された川島も怪我で欠く現状では、ラロッカ加入で打撃陣が強化されたとは言え、(交流戦でなぜか貯金ができたお陰で、辛うじて3位に留まっているが)成績不振も致し方ない。だが、エラー、走塁ミス、連携ミス、バント失敗など凡プレイがやたらと目に付くのは困ったものだ。

 かつての川上巨人、広岡&森の西武など最強チームは、素晴らしい選手が揃っていたこともあるが、何と言っても基本がしっかりと身についていた。確実に点を取り、余計な失点はしない、これが、両チームが9年連続日本一並びにそれに匹敵する成績を収めた秘訣だった。選手層が薄く優勝できなかった年はBクラスに終わったとは言え、野村ヤクルトも基本がしっかりできていた。だから、どこが強いのかさっぱり分からないと言われながらも、ヤクルトは90年代最多の日本一を誇るチームだったのだ。

 それは、優勝争いをしている中日と阪神にも共通する。先日、そつない試合運びをする阪神など面白くも何ともないとケチを付けたが、両チームとも基本がしっかり身についている。中日など、いとも容易くバントを決めているが、羨ましい限りだ。両チームともエラーも少ない。これならば連敗が少なくなるから、巨人のように大崩れすることがない。

 古田は、面白い野球をしたいと言っている。もちろん歓迎だ。しかし、バントで送るべきところで送れず、走塁ミスでチャンスを潰し、相手投手が不調で傘に掛かって攻め立てることができたときしか点が入らないような試合運びでは、今に飽きられてしまう。初回に7点先取して、エースが登板していると言うのに、あっさりと、しかも不振を極めていた巨人打線に逆転されるようでは開いた口が塞がらない。こういう試合は相手チームのファンには堪えられない試合かもしれないが、ヤクルトファンにとっては耐え難い試合だ。古田監督就任1年目、まだまだ先があるのだから、すんだことをうだうだ言うつもりはない。だが基本練習をまず徹底してもらいたい。

 野村ヤクルトは、92年に14年ぶりに優勝したときはいざ知らず、その後は、優勝することが歓迎されないチームだった。「ヤクルトが優勝したのでは詰まらない」、「ヤクルトが優勝すると日本シリーズの視聴率が上がらない」と散々文句を言われたものだった。だが、いまは違う。古田の人気は高く、その改革の試みも支持されている。ヤクルトファンのみならず、他チームのファンもヤクルト優勝を温かく見守ってくれるはずだ。

 今年はもちろん、来年も優勝は無理だろう。だが守備、走塁、野手の連携、バンドなど基本をしっかり身に付けておけば、優勝のチャンスは必ず巡ってくる。中日も阪神も選手層と主力選手の年齢などを考えると5年も10年も常勝チームにはならない。ヤクルト(並びに他のチーム)にも、優勝のチャンスが遠くない将来に遣ってくる。その機会を逸しないように、今こそ、地道に基本練習を積み重ねていくべきときだ。地道な努力も頼んだぞ、古田!


(H18/7/17記)


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